愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「どうしたらいいの・・・」
翔さんの悲しそうな瞳が頭から離れない。
玄関に入ると崩れ落ちるように座って、泣き崩れた。

明くる日の金曜日は、仕事に行く気になれず、佐野さんに連絡して急遽休ませてもらった。

ソファでテレビを見ても、本を読んでも、昨日の事が頭から離れない。
自分の自信の無さを、ただ翔さんにぶつけてしまっていたことは分かっている。
でも、きっとそれは、これからも私の心を不安にさせる。

あれこれと思いを巡らせていると、携帯が鳴った。
佐野さんからだ。
急に休んだから、仕事のことかなぁ・・・

「佐野さん、すみません、何かありましたか?」
「ごめんねぇ、休みのところ。社長と何かあっての休みよね?」
さすが佐野さん、図星です。
「はい・・まぁそうですけど、どうして分かったんですか?」
「社長が恐ろしく機嫌悪いのよ・・・皆、とばっちり受けてるのよ、日比野さんのお陰で」
「それは私のせいでは・・・」
「いいえ、それしか考えられない。だって、仕事で大きな失敗しても機嫌が悪くなるなんて、今までに無かったのよ。どんなに忙しくても、絶対に顔に出さなかったのに。今日は般若よ、般若」
「私、クビになるかもしれないですよね」
「それは絶対に無いわよ。ねぇ、今日のお昼空いてる?私、午後から外出あるから、その前にランチしよう、ねっ」
「わかりました。ではお願いします」
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