愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「日比野さん、相手の事を思って伝えるんだ。会社の経営は確かに社長や役員がメインになる。でも、従業員の人達の幸せ、従業員のご家族の幸せを考えるんだ。従業員は難しい経営の言葉なんて興味ない。でも、自分達が働く会社の将来像はイメージできる。視点を変えるんだよ」
社長の言葉は、話をしている自分の姿を想像出来た。
「後は、熱意だ。きっと羽瀬くんが認めた人だ。自分を信じなさい」
感情に訴えかけるような社長の言葉は、心に響く。
これだ!
「ありがとうございます」
私は青羽社長にお礼を伝えて、社長室を後にした。
「緑川さん、ありがとうございました。人に話をすることのイメージが出来ました」
「良かったわぁ。社長に話をしたら、連れて来なさいって言われてね。翔さんがいるんだから、楽しんで」
「ありがとうございます」
私は気持ち晴れやかに、事務所へと戻った。

とうとうこの日が来た。
プレゼンに参加する会社は5社。
翔さんのお父さん、羽瀬社長も参加していた。
羽瀬社長の提案で、順番は抽選で決めることになって、羽瀬コンサルティングは4番目、翔羽は5番目になった。
そして、羽瀬コンサルティングのプレゼンターは、明子さんだった。
「あら、あなたが翔羽のプレゼンするの?私の後で、申し訳ないわね」
鼻で笑うかのように、明子さんが私の横を通り過ぎた。

羽瀬社長は約束通り、急遽、今参加できる従業員に声をかけるよう役員に伝え、皆、大会議室の準備でドタバタしていた。
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