愛するあなたへ〜blue roseを私にください
いよいよ始まり、1番目の会社から、プレゼンが始まった。
そしてあっという間に、羽瀬コンサルの順番になり、明子さん達が部屋に入って行った。

次に控えるため、廊下で待機していた。
私が廊下にこぼれる明子さんの話し方に気をとられないように、翔さんが声を掛けてくれた。
「大丈夫?」
「大丈夫と言いたいところですが、足が震えて」
「まだ始まらないから、少しだけ、席外そうか」
少し歩いて、非常階段の所に2人で歩き、翔さんが抱きしめてくれた。
「可愛い春花を皆に見せたくないけど、こんなに素敵な人だと見せたい気持ちもある。成功も失敗も全て楽しんで」
「はい」
足の震えも止まり、戻ると同時に明子さんのプレゼンが終わった。

拍手が起って、ドアから出て来た明子さんは、満足げに私を横目で見て笑っていた。
「行こうか」
翔さんが私の横に立ち、微笑み掛ける。
「春花、何があっても俺がいるからな。楽しむぞ」
「はい」
それでも、中に入って、前に立つと、凄く怖かった。
でも、隣に翔さんがいる。
ふと、後ろの席の方で手を振る人がいた。
佐野さんだ。
その横には青羽社長と緑川さんまでが座っていて、こちらを見て小さく手を振っていた。
目をつぶり、青羽社長に言われた言葉を思い出す。
怖い。でも皆がいる。
翔さんを見ると笑顔で頷いていて、それに私も応え、胸を張り、前を向いた。
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