愛するあなたへ〜blue roseを私にください
【blue roseに囲まれて】
クリスマスイヴの日は、翔さんが夜景の見えるホテルを予約してくれて、一緒に帰るために早く仕事を済ませ、翔さんを待っていた。

「今日はどこかに行くの?」
「はい、一緒に食事に出掛けようかと」
「そう、社長はクリスマスなんて興味無くて、いつも仕事してたのに、好きな人が出来ると変るものね」
「昨日から何度も、今日のこと確認されました。忘れるわけないのに」
「あっ、噂をすればね」
翔さんが社長室か出てきて先に事務所を出た。
「いつになったら皆に言うんだろうね。社長の溺愛ぶりがダダ漏れだと分かっていないのは、社長だけだよ」
佐野さんは笑いながら
「早く行きなさい」
私の背中を押してくれた。

翔さんが車で待っていてくれて、私は助手席に乗った。
「ただのイベントだと思ってたけど、クリスマスがこんなに、そわそわするもんだなんて、初めて知ったよ」

夜景が見えるホテルの食事は、手をつけるのが勿体ないくらいだし、初めての味わいにずっと美味しいを言い続けていた。

部屋に入ろうとした時、
「春花、目を開けていいって言うまで、閉じてて」
私は目を閉じて、言われるがままに、翔さんに手を引かれ歩いた。

「ゆっくり目を開けて」
ゆっくり目を開けると、夜景が部屋一面に見えた。
「綺麗・・・」
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