愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「社長、資料が出来ました」
「ありがとう」
「では、失礼します」
彼女が社長室を出ようとした時、ふとさっきの会話を思い出す。
「あっ、日比野さん」
「はい」
「ちょっと、そこに座って」
彼女にソファに座るように促し、向かい側に座った。
「仕事はどう?慣れてきた?」
「はい、佐野さんにご指導いただきながらですが、楽しいです。覚えることが多くて、必死ですけど」
彼女の笑顔は、こっちまで笑顔になる。
「そう、それならいいんだ」
「何か、お手伝いすることありますか?出来ることは少ないかもしれませんが、言ってください」
「ありがとう。そうだ、これから取引先に渡す物があるんだ。一緒に出掛けてみる?」
「はい、宜しくお願いします!」
「じゃあ、準備して、外で待ってて」
彼女は、社長室を後にして、事務室に戻って行った。

思わず誘ってしまった。
従業員だから、当然、皆平等に大切だ。
ただ、彼女は秘書的な仕事をしてもらっていて、距離が近いからか?
なんだろう、この気持ち。

「佐野さん、ちょっと出掛けるけど、日比野さんにも付いてきてもらうね」
「・・・はい、どうぞ」
佐野さんがふとにやけたように見えたけど、気のせいか・・・

ただ、書類を渡すだけだったので、直ぐに用事は終わった。
「せっかく外に出たし、少しゆっくりしようか」
近くにカフェがあったので、そこに入った。
「何にする?何でもいいよ」
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