愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「お仕事中ですから」
「日比野さんは、まだ外に出ることも無いからね。それに俺が言い出したんだから」
「社長がそう仰るのなら・・・」
彼女はメニューを見ていたが、ずっと目線が同じ所で止まっている。
パフェのところだった。

頼みたいけど、遠慮して、迷っているのだろう。
「チョコとフルーツとどっちのパフェがいいの?」
「えっ?」
彼女のまん丸な目が、更に丸くなるほど驚いた後、恥ずかしそうにしていた。
「では、フルーツで・・・」
照れながら頼む姿が、あまりにも可愛い。
「コーヒーとフルーツパフェください」

フルーツパフェを見た彼女はとても嬉しそうだった。
「おいしい?」
「はい、おいしいです!こんな事言うと、佐野さん達に申し訳ないんですが、仕事中に食べるとまた美味しいです」
美味しそうに食べる彼女の口元にクリームが付いていた。
取ってあげようと、自然と手が動いたけど、抑えた。
「日比野さん、こっちの口元、クリーム付いてるよ」
彼女は、クリームを自分で取って
「子供みたいですね」
はにかみながら、またパフェを食べ続けていた。
年下だから、こんなに可愛いのか?
それとも秘書として、一番近い存在になったからか?
自分に今までにない感情が芽生えていることに、戸惑いを感じた。
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