エリート弁護士との艶めく一夜に愛の結晶を宿しました
「新婚さん、いいわねー。毎日、幸せでしょ?」
周りに利用者がいない状況を見てか、こっそりとプライベートな話題を振ってくる。
「そう、ですね。自分が結婚できるとは思ってもみなかったので、夫には感謝しています」
「なに言ってるの。川内さん、美人だし対応も丁寧だから、結婚できないなんてことはないでしょ!」
なにげなく返したつもりだったのに間髪を入れず沢野さんはすごい勢いで捲し立てた。とはいえ謙遜したわけではなく事実だ。今まで男性とお付き合いする機会が私にはなかったから。
ずっと稀一くんを想い続けていたのも大きな要因ではある。
勢いに押されていると彼女から質問が続く。
「ご主人とはお付き合いして長いの?」
「いえ、そこまでは……」
思わず言葉を濁した。そんな私を察してか、沢野さんはそれ以上追求せずに話題を切り替える。
「もしも川内さんが産休や育休に入ったらちょっと寂しくなるわね。あ、でも当然の権利なんだからそこは遠慮なく」
「な、ないです。今のところその予定はまったくないので」
今度は沢野さんが驚いた顔を見せた。すぐに私も過剰反応だと思ったが後の祭りだ。少なくとも全力で否定する内容ではない。
微妙な空気を吹き飛ばしたのはやっぱり沢野さんの方だ。
「そうね。まだ結婚して間もないし、しばらくふたりきりを楽しむのもいいわよね」
私も結婚三年目で娘ができてね、と沢野さんは明るく続ける。彼女の話になり私は相槌を打ちながら、胸を撫で下ろした。
私と稀一くんは昔からお互いを知っているけれど、想いが通じ合った期間や付き合った覚えはない。そう、私たちは交際ゼロ日で結婚を決めた。
さらにいえば、結婚して一緒に住み始めて一ヶ月になるのにまだ深い仲になっていない。それがここ最近の私の大きな悩みだった。
周りに利用者がいない状況を見てか、こっそりとプライベートな話題を振ってくる。
「そう、ですね。自分が結婚できるとは思ってもみなかったので、夫には感謝しています」
「なに言ってるの。川内さん、美人だし対応も丁寧だから、結婚できないなんてことはないでしょ!」
なにげなく返したつもりだったのに間髪を入れず沢野さんはすごい勢いで捲し立てた。とはいえ謙遜したわけではなく事実だ。今まで男性とお付き合いする機会が私にはなかったから。
ずっと稀一くんを想い続けていたのも大きな要因ではある。
勢いに押されていると彼女から質問が続く。
「ご主人とはお付き合いして長いの?」
「いえ、そこまでは……」
思わず言葉を濁した。そんな私を察してか、沢野さんはそれ以上追求せずに話題を切り替える。
「もしも川内さんが産休や育休に入ったらちょっと寂しくなるわね。あ、でも当然の権利なんだからそこは遠慮なく」
「な、ないです。今のところその予定はまったくないので」
今度は沢野さんが驚いた顔を見せた。すぐに私も過剰反応だと思ったが後の祭りだ。少なくとも全力で否定する内容ではない。
微妙な空気を吹き飛ばしたのはやっぱり沢野さんの方だ。
「そうね。まだ結婚して間もないし、しばらくふたりきりを楽しむのもいいわよね」
私も結婚三年目で娘ができてね、と沢野さんは明るく続ける。彼女の話になり私は相槌を打ちながら、胸を撫で下ろした。
私と稀一くんは昔からお互いを知っているけれど、想いが通じ合った期間や付き合った覚えはない。そう、私たちは交際ゼロ日で結婚を決めた。
さらにいえば、結婚して一緒に住み始めて一ヶ月になるのにまだ深い仲になっていない。それがここ最近の私の大きな悩みだった。