エリート弁護士との艶めく一夜に愛の結晶を宿しました
「うん、俺も日奈乃とお腹の子が一番大切なんだ。無理する必要はどこにもない」

 はっきりと言いきられ、やはり私の本心など稀一くんにはお見通しのようだ。

「それに、夫婦のスキンシップはなにもセックスするだけじゃない」

 続けられた言葉に顔を上げる。すると素早く唇を重ねられ、目の前には余裕たっぷりに笑う稀一くんの姿があった。

「たとえば」

「ひゃぁ」

 腰に回されていた手でパジャマの上から脇腹をくすぐられ私は叫んだ。

「こうやって触れて、日奈乃の反応を見るだけでわりと満足だったりする」

「や、やめて。くすぐったい」

 くすぐったさで身悶えする私を抱きしめるようにして固定し、稀一くんは楽しそうに眺めている。当然、彼の手は止まらない。この体勢では抵抗しても分が悪すぎて、ベッドが変に軋みだす。

「相変わらず弱いな。こっちも?」

「あっ」

 耳たぶに唇を寄せられ、声が漏れる。脇腹よりも神経がそちらに集中した。

「ん、や、やだ」

「本当に?」

 わざと耳元で吐息混じりに囁かれ、音を立て口づけられる。甘く刺激され、首筋に鳥肌が立った。それを見て今度は首筋にゆっくりと舌を這わされる。

「き、稀一くんの意地悪。好きな子には優しくするって言ってたくせに……」

 いつかの発言を持ち出し抗議すると、彼は私の首元から頭を浮かせて、目を合わせてきた。

「心外だな。こんなに優しくするのは日奈乃だけだよ」

「し、信じられない」
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