エリート弁護士との艶めく一夜に愛の結晶を宿しました
ところが、自分の気持ちを伝えようにも、この頃からどういうわけか日奈乃に距離を置かれるようになった。
食事に行こうと誘っても、なにかと理由をつけて断られる。俺の母親とは出かけているようだが。
『今日、日奈乃ちゃんは?』
父と武志さんとで仕事終わりに食事をする機会があり、ふたりの行きつけの料亭に向かい、広々とした個室に通され腰を下ろしたときだった。不意に父が武志さんに尋ねる。
もう社会人になったとはいえ、実家暮らしの一人娘だ。よければここに呼んでやろうというつもりだったのかもしれない。
『結人……日奈乃の従兄と飯に行っている。姉の息子なんだが、うちに就職して近くに住みだしてからなにかと気が合うようで、ちょくちょく会っているようだ』
初めて聞く情報に目を見張る。日奈乃の近くに、俺よりも親しい異性がいるとは思ってもみなかった。
『それは日奈乃ちゃんにとっても心強いね。付き合っているのかい?』
からかいを含んで父が尋ねると、武志さんはいささか顔をしかめた。
『そこまで知らないが、早く日奈乃の花嫁姿を見届けたいとは思っている。欲を言うなら孫の顔も』
『昔はどこにも嫁にやりたくないって言ってたのにな』
父がおかしそうに笑った。たしかに俺もよく聞かされていたので、武志さんの意見が意外に感じる。
食事に行こうと誘っても、なにかと理由をつけて断られる。俺の母親とは出かけているようだが。
『今日、日奈乃ちゃんは?』
父と武志さんとで仕事終わりに食事をする機会があり、ふたりの行きつけの料亭に向かい、広々とした個室に通され腰を下ろしたときだった。不意に父が武志さんに尋ねる。
もう社会人になったとはいえ、実家暮らしの一人娘だ。よければここに呼んでやろうというつもりだったのかもしれない。
『結人……日奈乃の従兄と飯に行っている。姉の息子なんだが、うちに就職して近くに住みだしてからなにかと気が合うようで、ちょくちょく会っているようだ』
初めて聞く情報に目を見張る。日奈乃の近くに、俺よりも親しい異性がいるとは思ってもみなかった。
『それは日奈乃ちゃんにとっても心強いね。付き合っているのかい?』
からかいを含んで父が尋ねると、武志さんはいささか顔をしかめた。
『そこまで知らないが、早く日奈乃の花嫁姿を見届けたいとは思っている。欲を言うなら孫の顔も』
『昔はどこにも嫁にやりたくないって言ってたのにな』
父がおかしそうに笑った。たしかに俺もよく聞かされていたので、武志さんの意見が意外に感じる。