エリート弁護士との艶めく一夜に愛の結晶を宿しました
我ながら突拍子もない発言をしたと自覚しているから、稀一くんがすんなり信じられないのも無理はないかもしれない。
でも父の話を聞いたあの日からずっと悩み続け、彼に伝えようと決意していた。なんなら私の欄は記入済みの離婚届まで用意してある。
気持ちを昂らせるに私とは対照的に稀一くんは動揺などまったく見せない。勝手だけれど、そんな彼の態度に傷ついている自分もいた。
半分、予想はしていた。職業も相まって彼がドラマみたいに感情的になるわけがない。
父が倒れなければ、父が余計なことを稀一くんに言わなければ、私たちはきっと結婚していなかった。それを今の彼の態度でも思い知らされる。
「私は」
「本気で?」
彼の言葉とかぶり、私は言葉を止めた。続けて左手を彼に取られ、逃がさないと言わんばかりに強く握られる。
「本気で日奈乃は俺と別れたいのか?」
怖いくらい真剣で冷たい声と表情に私は目を奪われる。今まで見たことがない稀一くんの顔に頭が真っ白になった。
なにか答えなければ。知ってしまった事実、自分の想いの丈をぶつけて、稀一くんの気持ち次第では別れるって。
彼を縛るわけにはいかない。今ならまだ引き返せる。
おもむろに唇を動かそうとしたとき、胃液が込み上げてくる不快感に突然襲われた。私は口を押さえ素早く立ち上がる。
「ごめん、ちょっと」
気持ち悪い、というのは声にできず急いでトイレに駆け込む。久しぶりに嘔吐を経験した。
でも父の話を聞いたあの日からずっと悩み続け、彼に伝えようと決意していた。なんなら私の欄は記入済みの離婚届まで用意してある。
気持ちを昂らせるに私とは対照的に稀一くんは動揺などまったく見せない。勝手だけれど、そんな彼の態度に傷ついている自分もいた。
半分、予想はしていた。職業も相まって彼がドラマみたいに感情的になるわけがない。
父が倒れなければ、父が余計なことを稀一くんに言わなければ、私たちはきっと結婚していなかった。それを今の彼の態度でも思い知らされる。
「私は」
「本気で?」
彼の言葉とかぶり、私は言葉を止めた。続けて左手を彼に取られ、逃がさないと言わんばかりに強く握られる。
「本気で日奈乃は俺と別れたいのか?」
怖いくらい真剣で冷たい声と表情に私は目を奪われる。今まで見たことがない稀一くんの顔に頭が真っ白になった。
なにか答えなければ。知ってしまった事実、自分の想いの丈をぶつけて、稀一くんの気持ち次第では別れるって。
彼を縛るわけにはいかない。今ならまだ引き返せる。
おもむろに唇を動かそうとしたとき、胃液が込み上げてくる不快感に突然襲われた。私は口を押さえ素早く立ち上がる。
「ごめん、ちょっと」
気持ち悪い、というのは声にできず急いでトイレに駆け込む。久しぶりに嘔吐を経験した。