エリート弁護士との艶めく一夜に愛の結晶を宿しました
 車酔いってこんな気分? 

 初めての感覚に、やはりついてきてもらったのは正解だったかもしれないと思う。

「いつも……ごめんね」

 目を閉じると、そっと手を重ねられた気がした。

 内科は混んでおらず、すぐに診察室に呼ばれる。このクリニックは漢方にも力を入れていて患者に寄り添った診察をしてくれると評判だ。

 ついてくと申し出た稀一くんを説得し、車で待ってもらっているので、あまり時間はかけたくない。

 若い男性医師が私の記入した問診票を見ながら軽い調子で質問してくる。

「吐き気はいつ頃から? 吐いたのは一度だけかな?」

 優しく問いかけられ、私は短く答えていく。一通りのお決まりのやりとりをし、先生が看護師さんから渡された用紙を見て、眉を曇らせた。 

「血液検査したけれどウイルス性ではないな、白血球は正常値か」

 いいのか、悪いのか。能天気にかまえていたが、医師の様子に少しだけ不安になる。私の体はどうなっているのだろう。やっぱりストレス?

 切迫した面持ちで医師の話に耳を傾けていると、続けて彼の口からまったく予想外の質問が投げかけられた。 

「……間宮さん、妊娠の可能性は?」

 大きく目を見開く。今の今までその可能性が頭になかったからだ。とっさに否定しそうになったものの言葉が続かない。

 思いつかなかっただけで否定する根拠がないのも事実だ。
< 54 / 120 >

この作品をシェア

pagetop