エリート弁護士との艶めく一夜に愛の結晶を宿しました
「嫌なわけないよ。私だってずっと稀一くんに会いたかった。……触れて欲しかった」

 顔が見えないからか、稀一くんの言葉に影響されたからなのか、我ながら大胆な発言をした。

 恥ずかしくなりフォローしようと身じろぎしたら、耳に唇が寄せられる。

「んっ」

 反射的に声が漏れるが、稀一くんはやめるどころか耳たぶを甘噛みして、そっと舌を這わせてきた。

「や、やだ」

「ひながあまりにも可愛いから」

 吐息を吹きかけるように耳元で低く返され、鳥肌が立つ。強く抱きしめられているので思うように抵抗もできない。耳が熱くて皮膚も熱を持ち始める。

「……手は出さないって」

 恨みがましく呟くと、指を絡めて手を握られる。大きくて安心する稀一くんの手だ。

「ん、だから“手は”出していない」

 ところが続けられた言葉に目を見開く。振り向く前に項に生温かい感触があった。

「あっ」

 驚きも相まってさっきよりも大きな声になり、慌てて口を噤む。

 繫がれた手は、逆に捕まった状態になり、舌と唇で肌を愛撫されるのをおとなしく受け入れる。

 苦しくて切ない。止めてほしいのに、もっとしてほしい。

 ぎゅっと身を縮めているとゆるやかに解放された。私はそろりと稀一くんのほうに顔を向ける。目が合い、稀一くんが苦笑した。
< 61 / 120 >

この作品をシェア

pagetop