エリート弁護士との艶めく一夜に愛の結晶を宿しました
こうやって遠慮なく眺められるのは妻の特権かな? まだ新婚一ヵ月目だし、これくらい普通だよね。
「今日も武志さんのところに行くのか?」
不意に話題を振られ、私は慌てて居住まいを正す。
「うん。仕事帰りにちょっと寄ってこようと思う」
「悪いな、一緒に行けなくて。今度、時間を見つけて顔を出すよ」
申し訳なさそうな顔をする彼に私は微笑んだ。
「大丈夫、気にしないで」
武志さんというのは私の父だ。昨年末に突然倒意識を失って倒れ、病院に救急搬送され今もまだ入院している。
持病などまったくなかったので、寝耳に水の事態に私はひどく狼狽えた。
ちょうど二年前、母を亡くしているのもあって、動揺する私を稀一くんや彼のご両親に親身に支えられ、父の会社のことを含めすごくお世話なになった。
そして、一時は危ないかもしれないと医師に告げられた父も無事に意識を取り戻し、徐々に回復に向かっている。
ホッとしたのも束の間、病院のベッドの上から可能な限り、秘書や専務といった役員などとやりとりし、会社を憂えながら指示を出しているそうだ。
父の立場を考えると仕方がないのも理解できる。元々仕事人間の人だったが、母が亡くなってからますます父は仕事ばかりになった。
今回はその無理が祟ったのかもしれない。だからこの機会に、少しは体を大事にして欲しいのだけれど。
実際、仕事の用件とはいえ娘の私より稀一くんや稀一くんのお父さんと会っている時間の方が多いのはいかがかと思う。
ただ、もしも父が倒れなかったら、私は今、稀一くんと結婚していなかったかもしれないから少しだけ複雑だ。
「今日も武志さんのところに行くのか?」
不意に話題を振られ、私は慌てて居住まいを正す。
「うん。仕事帰りにちょっと寄ってこようと思う」
「悪いな、一緒に行けなくて。今度、時間を見つけて顔を出すよ」
申し訳なさそうな顔をする彼に私は微笑んだ。
「大丈夫、気にしないで」
武志さんというのは私の父だ。昨年末に突然倒意識を失って倒れ、病院に救急搬送され今もまだ入院している。
持病などまったくなかったので、寝耳に水の事態に私はひどく狼狽えた。
ちょうど二年前、母を亡くしているのもあって、動揺する私を稀一くんや彼のご両親に親身に支えられ、父の会社のことを含めすごくお世話なになった。
そして、一時は危ないかもしれないと医師に告げられた父も無事に意識を取り戻し、徐々に回復に向かっている。
ホッとしたのも束の間、病院のベッドの上から可能な限り、秘書や専務といった役員などとやりとりし、会社を憂えながら指示を出しているそうだ。
父の立場を考えると仕方がないのも理解できる。元々仕事人間の人だったが、母が亡くなってからますます父は仕事ばかりになった。
今回はその無理が祟ったのかもしれない。だからこの機会に、少しは体を大事にして欲しいのだけれど。
実際、仕事の用件とはいえ娘の私より稀一くんや稀一くんのお父さんと会っている時間の方が多いのはいかがかと思う。
ただ、もしも父が倒れなかったら、私は今、稀一くんと結婚していなかったかもしれないから少しだけ複雑だ。