エリート弁護士との艶めく一夜に愛の結晶を宿しました
 無意識にお腹をさすりながら体を丸めていると、枕元においてあったスマートホンが振動した。

 無視しようかと思ったが、スマートホンはしつこく重低音を響かせヴーヴーと震えている。おそらく電話だ。

 根競べに負け、画面を見ると意外な人物の名前が表示されていた。
「結人、どうしたの?」

『日奈乃、突然悪いな。今、電話大丈夫か?』

 電話の相手は従兄の結人だった。

「あまり……」

『じゃぁ、手短に。今度母さんがうちにしばらく滞在するらしいから、都合が合えば日奈乃とお前の旦那も一緒に飯でも食おうって』

 結人のアパートはそれなりに広く、父の病院へのお見舞いのときも伯母は結人のところで泊まっていた。息子が心配というよりこちらで色々見て回るのが楽しいらしい。

「そっか、ありがとう」

『なんか、元気ないけど大丈夫か?』

「うん」

 まったく説得力のない声だった。さすがに不審に思ったのか、結人が追及してくる。おかげで本当は安定期に入ってからと思っていた妊娠をぎこちなく報告した。

 一度吐き出すと現金なもので、家事が全然できておらず、稀一くんに迷惑をかけていることまでグチグチと話してしまう。誰かに聞いてほしかったのかもしれない。

『なら、うち来いよ。ちょうど母さんも来るしさ。旦那、忙しいんだろ? お前の面倒くらい見てくれるって』

 ひとしきり話を聞いた後、結人は軽く提案してきた。予想外の展開に私は目を見開き狼狽える。
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