エリート弁護士との艶めく一夜に愛の結晶を宿しました
「え、いや。さすがにそこまでは……」

『ま、本当は実家にでも帰れたらいいんだろうが、お前はそれができないからな。母さんに伝えておくからいつでも言えよ』

「ありがとう、結人」

 素直にお礼を告げ電話を切る。大きくため息を吐いて天井を見つめた。

 どうしよう。今の状況なら、私は結人のところにいって伯母さんのお世話になったほうがいいのかな? 稀一くんの負担になるくらいなら。

 でも、本当は彼のそばにいたい。離れたくない。

 稀一くんは、なんて言うだろう。

『……もしも好きな人ができたから私と別れてほしいって言ったらどうする?』

『ひとまずひなの言い分をじっくり聞くかな』

 きっと稀一くんは、私の意思を優先してくれる。好きにしたらいいって。

 私がどこに行ってなにをしようと、私たちの関係さえも。

 そんな彼の優しさが、今は胸を締めつけるだけだった。

 ぎゅっと目をつむって、どれくらいの時間が経ったのか。嘔吐感が眠気に打ち勝ち、私はおもむろに身を起こす。

 胃が荒れて胸やけのため、えずきそうになるのを必死で堪えた。

 体勢も悪かったのかな?

 しばらくベッドの上でうずくまり、少しだけ吐き気が収まったので枕元に置いてあった飴を舐めて落ち着かせる。

 今、何時だろう?

 時計を確認すると五時過ぎだった。夕飯はさっき買い物ついでに色々とおかずを買い込んでいた。
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