従者は惜しみない愛を捧げる―――流浪の落ち延び姫と双頭の獅子
「望んだのは……あなたです、アマーリア様」

 ただ囁かれるだけでも妖しい刺激を感じてしまうのに、ふいに右胸の頂に口づけられた。唇で肉粒を挟まれ、舌先で突かれて、閉じた目蓋の裏で白い光が弾けた。

「やうっ!」
「かわいらしい方だ、本当に」

 性戯に不慣れで生硬な身体を気遣ってくれているのだろう。リナルドは決して急がず、丁寧にアマーリアを追い上げる。

(わたくしはずっと……こうしてほしかったのだわ)

 リナルドと肌を合わせたのは、ある目的を果たすためだった。
 
 それなのに快楽の渦に巻き込まれ、そのまま押し流されそうになる。何年も一緒に過ごすうちに、アマーリアは献身的な従者に心惹かれるようになっていたのだから。

 いつからリナルドの姿を目で追うようになったのだろう? 

 旅の途中、森で襲ってきた獣を切り捨ててくれた時? それともまったくの初心者であるアマーリアに、根気よく剣術を教えてくれた時だろうか?
 いや、もしかしたら初めて会った日に、もう恋に落ちていたのかもしれない。

 彼は常に一番重い荷物を持ち、誰より先に起きて、床につくのは最後だ。口数は多くないが、心が折れそうになった時は必ず隣で励ましてくれた。

 けれどもリナルドへの想いが深まるにつれ、アマーリアの胸にはある疑惑が芽生え、その暗い影は日ごとに大きくなっていった。こうして抱かれている今でさえも。
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