従者は惜しみない愛を捧げる―――流浪の落ち延び姫と双頭の獅子
「まあ、なぜそんな――」

 唇が震え、声が上擦る。なんとか微笑もうとしたが、無理だった。

 リナルドを騙すことはできない。
 彼は選び抜かれ、覚悟を持って王に仕えてきた騎士のひとりだ。声を荒らげたり、脅したりしなくても、その言葉には有無を言わせぬ響きがあった。

「あなたは……王の守護騎士なのですね?」
「どうしてそう思われるのです?」
「城を出る時に、父上から教えられたのです。レマルフィの王室にはそういう方たちが仕えていて、忠臣だからこそ王でなくなれば敵になってしまうことと、その身体に双頭の獅子が彫られていることを。だから……いつか必ず見つかると思っていました」
「では、アマーリア様はそれを確認するために、俺とあんなことをなさったのですか?」

 落ち着いた声がわずかに揺らいだような気がしたが、そんなはずはなかった。

 残酷な問いかけに応えられず、アマーリアは視線を落とす。

「亡くなった母上も、子守歌で二つの頭を持つ獅子のことを歌っておられたわ。決して近づかないようにと」

 それなのにアマーリアは何年も彼のそばで暮らし、剣を学び、いつしか心を奪われてしまった。
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