従者は惜しみない愛を捧げる―――流浪の落ち延び姫と双頭の獅子
 パチパチと火がはぜる音がして、アマーリアは小さく身じろぎをした。

 寝台は硬く、うっすら開けた目に映った天井は丸太を組み合わせたもので、まったく見覚えがなかった。
 小屋の中だろうか? どうやら眠っていたようだが、どうしてこんなところにいるのだろう? 

(あっ!)

 腹部に鈍い痛みが走り、アマーリアは唐突にすべてを思い出した。

 王家に世継が誕生したため、命の危険にさらされていること。
 愛しいリナルドが敵に仕える守護騎士で、双頭の獅子の刺青を入れていたこと。
 そして、その彼と契ってしまったこと。

 追いつめられたアマーリアは自決しようとしたはずだったが――。

 瞳だけを動かして音がする方を見ると、粗末な暖炉で火が燃えていた。こちらに背を向け、その前に立っているのはリナルドだ。

 今は九月で、夜でも火をたく必要などない。
 しかも彼はなぜか上半身裸だった。その腕の中にいる時は気づかなかったが、広い背中にはいくつも傷痕がある。

「アマーリア様、先ほどは失礼いたしました」

 音など立てていないはずなのに、リナルドは背を向けたまま低い声で詫びた。
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