天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
中山先生にお礼を言うと、彼女はニコッと微笑んだ。
やっぱりペット扱いされているような気がするけど、まあいっか。
その後、ナースステーションに戻って午後の業務をこなしていく。
カルテの整理をしていたら、長野先生がふらっと現れた。
「あっ、茉莉花ちゃん、さっき救急できた患者さんの入院手続きお願い。今病室にご家族いるから」
「わかりました」
長野先生から書類を受け取り、必要書類を持って病室に向かう。
「えーと、田辺泰子さん、田辺泰子さん……ここか」
病室の入り口のネームプレートを確認してノックすると、「はい」という若い男性の声が聞こえた。
「失礼します。入院手続きの書類にご記入をお願いし……!」
ドアを開けて中にいる男性を見て瞳が凍った。
「え?茉莉花さん?片岡製薬辞めたって聞いたけど、ここで働いてたの?」
親しげにその男性が話しかけてくるが、あまりに動揺していて言葉が出てこない。
背は氷室先生より少し低く、髪はライトブラウンで、中性的な顔立ちをしているその男性を私はよく知っていた。
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