御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
そしてとうとうあの日がやってきた。

「ごめん。間に合わなかった」

産婦人科の個室のドアを開いて早々に玲音が言った。

今日、出産したのだが玲音は仕事で抜けられず立ち合いはできなかった。

「大丈夫だよ。想定内だし」

ベッドの上で身体を起こしながら私は言った。

「次の子は絶対立ち合います」

長男を出産したばかりの私に次の子って。

「次の子って、それは子供が多いに越したことがないってこと?」

いつもの意味合いの確認だ。

「美音との子供がもっと欲しいってこと」

自然と二人で笑顔になる。

玲音は最近敬語が減り、私を呼び捨てにする。
そして、自分では気づいていないようだが、愛情を明確に表してくれる。

「あら。もう来たの?」と弘美さんが入ってきた。

「さっき眠ったところだからもうちょっと眠らせてあげたいけど看護師さんに聞いてくるわ」

「あぁそれならいいよ。外から見るだけで」

私達はガラスの向こうの赤ちゃんを見に行った。

「あそこ」と私が栄音(えいと)くんと書かれたプレートが掛かっているベッドを指さす。
両手を頬の位置にあげて右側を向いたまだ赤みの残った赤ちゃんがすやすやと眠っている。

「栄音……」

玲音は潤んだ瞳でそう言いながらガラスギリギリに顔を近づけ両手をつき、栄音を見つめていた。
そして私に振り返り、「ありがとう」と言うと人前にも関わらずぎゅっと抱きしめてきた。

「一生大切にするから」

耳元で優しい玲音の声が鳴り響いた。
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