御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
隣に母はいない。

でも、私は母を連れてきている。
母は魔法をかけられたお姫様のように今は私の胸元に光るダイヤに姿を変えている。

「そうでしたか。遺灰から作るダイヤ。聞いたことがあります」と彼はそっと囁いた。

「私達にはもう親族はおりません。だからお墓よりもこうやって肌身離さずつけていられる方がいいって生前母と話していたんです」

「お母様も喜んでいらっしゃるでしょうね」

「はい。そう思います。それにこんなにかっこいい人連れているので驚いていると思いますよ」

「かっこいい……ですか。ありがとうございます。でも人は見かけじゃないんですよね」

「はい。見かけじゃないと思います。でもそれはかっこよくないからいい人だという事ではなかったみたいです」

「と言いますと?」

彼の質問に私は自分の口が滑っていたことに気が付いた。

「ほら一般的な事ですよ。ブサイク芸人がいい人ってことでもないじゃないですか」

「まぁ確かにそうですね」

「でしょ、でしょ」と私が笑って誤魔化すと彼はところでと尋ねてきた。

「ご両親のお写真はお持ちですか? よろしければ見せていただけますか?」

私はスマホに保存している両親の若い頃の写真を見せた。

「とても幸せそうなお二人だ。神岡さんはお母様に似てらっしゃいますよ」
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