御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
こんなのは人生で初めてだし、こういうことはちゃんと段階を踏むタイプだ。
まさかよりにもよって彼と旅のアバンチュールを経験してしまうなんて、何をしているんだ私は。

入社前に会社の人と身体の関係を、しかも出会ってたった2日でこんな事をしてしまったなんて事になると男関係にゆるく問題の火種になりかねないなどという理由で採用取り消しはゆるぎないものになるかもしれない。

すべての証拠を隠滅せねば。

ゆっくりと彼の腕と脚の包囲網から抜け出そうとするが、いかんせん男性の重さは並大抵ではない。勢いをつけてぼんっと放ったりすれば起きてしまうかもしれないので慎重に動かす。

お願い。起きないで……。

彼の腕が軽くなり、私の体から離れた。

寝返りでも打ってくれたのだろうかなんて都合のいい考えはすぐに消え去った。

大きな目とばっちり目があった。

「おはようございます」

彼は淡々と朝の挨拶をした。

いや、冷静過ぎるだろう。

「えっと、私達はその、昨日は」

私がしどろもどろに言うと彼は「ご満足いただけましたでしょうか?」とベッドの上で身体を起こして言ってきた。

ご満足?
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