御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
彼の体は私の足の間に入り、スカートが際どい位置まで捲れ上がり、彼の手が私の太ももへと移動する。

キスが激しさを増すとともに彼の行動は大胆になり、私を快楽の世界へと誘っていく。

誘惑の蜜が彼を招き入れ、二人で一つになると何度も激しく体を揺さぶらせ、楽園の世界へと旅立った。

それはもう、濃密で濃厚な甘く豊潤な夢だった。

こうしてまだ夢の中の感覚が腕に……。

手を引き寄せ枕か掛け布団であるはずの何かに手を当てる。明らかに体温がある。

そして私の体にも体温があるものが巻きついている。

蛇でないことは確かだ。

手元の感覚は毛並みからして猫? いやいや、犬ならまだしもこんなに大きな猫はいない。

チーター! ってなわけがあるか! 

恐る恐る目を開ける。

夢は夢の中で見るものだ。

でも夢が現実になることがあるのだろうか。

この部屋に帰ってきてシャンパンを開け飲んでいた記憶が鮮明に蘇る。どこまでが現実でどこまでが夢だったのか。

いや、どう考えても全てが現実だ。

私の胸元には人の頭があり、身体の締め付け感、衣服の装着感が全くない。
代わりに生身の人間の生暖かい腕の感触を胴で感じ、重い脚の感覚を私の脚で感じている。

顔を見るまでもなく相手はあの人しかいない。

彼はまだ夢の中らしい。
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