御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
パスタやピザが届く前にざっくりと信子には本当のことを伝えた。私が信頼できる唯一の親友だ。
彼女には嘘はつきたくない。

事前に玲音に了承を取ったところ、急遽レストランを貸し切りにしてくれた。

ちなみに店員に話が聞こえないようにクラシックのBGMが流されている。

「なにわともあれ、はい、お土産」

私はコウノトリのキーホルダーと空港で買ったマカロンを信子に渡した。

「ありがとう。ってか、え? 何? つまりは美音が社長夫人になるってこと?」

「どうだろう。仕事が続けられたらいつかそうなるかもね」

「仕事って」

「プロ妻? なんちゃって。あはは」

「本当に大丈夫なの? 今は羊でもいきなり狼になるかもよ? 無理やりガオッて」

「あはは。ないない。なんか草食系通り越して断食系ってやつ」

「断食系って……」

それに、実は顔は好みなのでそういう事になっても嫌な気はしないが、信子に言うと更に呆れられそうなので黙っておこう。

「なんかあれば言いなよ。うち狭いけど、落ち着くまで住んでくれても大丈夫だから」

「大丈夫だよ。彼氏さんが嫌がるでしょ」

「大丈夫。そこはちゃんと言いくるめているから。私は美音の母替わりなんだからね」

信子は昔からそうだ。

学生の頃は私のお姉ちゃんだった。母がいなくなったらお母さんになってくれた。
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