御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
玄関の扉が閉まる音で目が覚めると、既に朝になり、玲音が出社した後だった。

成人男性と2人きりで同じ部屋、同じベッドに寝ていたというのに危機感は全く感じなかった。

彼にとって私はビジネス相手であり、彼からは男女の仲のような欲すら感じられない。

私を抱いたのだって仕事の延長上……ってこういうと夜のお仕事のような話になってしまうがそうではなく、誤解が誤解を招き誤解した過ちであって、彼にとっては更なる欲に繋がるものではなかったようだ。

ベッドは注文しているというし、家から布団を持って来るにしても白木さんには手伝ってもらうわけにもいかないし、あんな大きなものを持ち歩いていたらご近所さんに何を言われるか分からない。

身の安全も確保できるようだし、仕方ない。

それから数日、同じベッドで寝るようになったが両端で寝る私達は大人な関係に発展することはなかった。



金曜日の午後6時、私は信子とイタリアンレストラン、と言っても1人2千円で満足に食べられる行きつけのお店に来ていた。

「もう、何からツッコめばいいの?」

眉間に指をあて、探偵ポーズをする信子が呆れたかのような声で聞いてきた。
< 86 / 129 >

この作品をシェア

pagetop