S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

「なにか食べたいって顔だな」
「おいしそう。あ、これなんてかわいい」


まん丸の黄色い練りきりに白いうさぎがかたどられた〝月のうさぎ〟と名づけられた和菓子を指差す。


「では、これをひとつとコーヒーをふたつお願いします」


注文を済ませ、再び目の前のふたりに相対する。


「ずいぶんお若いようだけど、おいくつなんだい?」
「二十四歳です」
「では京極くんとは八歳離れているのか。おや? もしかして……」


なにか閃いたのか、藤谷が目の奥を光らせる。


「七年前から一緒に暮らしている幼馴染みです」
「やはりそうか」


朋久の言葉に藤谷は大きく頷いた。


「たしかそんな娘さんと一緒に暮らしていると言っていたね」
「引き取っていた幼馴染みの方とご結婚を……?」
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