S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
「これでも一応夫だぞ? 逃げるなよ、傷つく」
「ごめ……、ちょっとびっくりしちゃって。……ていうか、朋くんでも傷つくんだね」
悪態をついて誤魔化す以外にない。
「あのな、俺をなんだと思ってる」
今度は頭をコツンと小突かれた。
不満そうに眉根を寄せる顔でも素敵なのに変わりはないためドキッとさせられる。
「じゃ、降りるね。気をつけて」
そそくさと車を降りてドアを閉めた。すると、すぐさま助手席のパワーウインドウが下がり、朋久の声が追いかけてきた。
「なるべく早く帰るようにするよ」
「はい、いってらっしゃい」
プッと軽くクラクションを鳴らし、車が遠くなっていく。
「さてと、せっかくだからご馳走でも作って待とうかな」
騒がしくなった心臓を宥めすかせる。いったんマンションに入ろうと足を向けたが、買い物をしてこようと方向転換した。