S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

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器に酢飯を盛り、錦糸玉子やレンコンやきぬさや、ムキエビやイクラを散らしていく。
スーパーで悩みに悩み、今夜のメニューはチラシ寿司に決めた。それだけでは足りない気がしたため、大根と鶏手羽元の煮物と茶碗蒸しも作ってある。
我ながら、稀に見るご馳走だ。


「これで完璧っと」


最後に桜でんぶをトッピングし、色鮮やかなチラシ寿司が完成した。

時刻は午後八時を過ぎたばかり。そろそろ帰ってくる頃かと手を洗っていたら、タイミングよく玄関が開く音がした。

出迎えに行こうとした足を止める。新婚っぽいシチュエーションは彼に鬱陶しいかもしれないと、いつも通りを決め込んだ。

すぐにリビングに現れた朋久にキッチンから「おかえりなさい」と声をかける。


「ただいま。遅くなって悪かったな。これ」


朋久が手にしていた白い箱を突き出した。


「もしかしてケーキ!?」
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