S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

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朋久の車に乗り込み、いよいよ遊園地に向けて出発。空は雲ひとつない快晴で、寒いとはいえ気持ちのいいデート日和だ。

朋久はネイビーのPコートを羽織り、菜乃花同様にカジュアルな印象のコーデだ。インナーはまるでお揃いのようにホワイトニットで、襟元から白黒のギンガムチェックがチラッと見えるのがおしゃれ。グレーのパンツと合わせたクールなスタイルは朋久に似合っていてとてもカッコいい。

日曜日の遊園地は、家族連れはもちろん恋人や友達同士と多彩な人たちで賑わっていた。

受付ブースで入園券を購入し、そのまま入場ゲートを通る。不意に朋久から左手を取られ、ぎゅっと握られた。
ドキッとして隣を見上げたら、一瞬だけ目を合わせた朋久がすぐに前を向く。


「夫婦ならこうするもんだ」


べつに菜乃花と手を繋ぎたいわけではなく、夫婦ごっこをしようと言うのだろう。


「そう、だよね」
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