S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
そこでふと気になる。
「昔の彼女たちとも、これ一緒に乗った?」
「彼女〝たち〟ってなんだよ」
「朋くん、モテるからいっぱいいたでしょう?」
歴代の彼女たちを全員知っているわけではないが、菜乃花が把握しているだけでも三人はいる。
「今は菜乃が奥さんだろ」
「そう、だね」
本物ではないけどね、は飲み込む。せっかく念願の遊園地に朋久と来ているのだからめいっぱい楽しもう。
「菜乃こそ、べつの男と来なかったのか?」
「私? 私に彼氏がいたためしがないのは知ってるでしょう? 朋くんと違って、私はぜーんぜんモテないんだから」
酷な質問はやめてほしい。
ゆっくりとマシンが動きだす。少しずつ揺れ幅が大きくなっていく。
(た、高いし、胃のあたりが……!)
最高到達点までまだなのに、お腹をすくわれるような感覚と高さに恐怖心が芽生える。