S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

絶叫系マシンは平気だったはずが、顔を強張らせて手すりを掴んでいた手を朋久に取られた。


「大丈夫か?」


指を絡ませ、いわゆる恋人繋ぎにして強く握られる。


「う、うん――きゃあーーーっ!」


頷いたが最後、マシンにぴったりの絶叫が菜乃花の口から飛び出した。落ちる直前の恐ろしい浮遊感が菜乃花に襲いかかる。

(こここ、こんなに怖かった!?)

記憶とはまるで違う。昔は友達と笑いながらバンザイして乗ったのに。
もはや目も開けられず、ただただ前後に揺られる。途中から声も出せず、朋久の腕にしがみつくようにして乗った。

ようやく動きが止まり、ゆっくり目を開ける。肩で息をして心を落ち着けた。


「……死ぬかと思った」
「大袈裟だな。平気なんじゃなかったのか?」


朋久がクククと肩を震わせる。
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