S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

「こんなところでどうしたの?」
「法律相談でもあった? もう終業時刻が過ぎてるから、急ぎじゃないなら明日にしたほうがいいかも」
「いやいや、そうじゃないって。菜乃に用事があってさ」


朋久だけが使う〝菜乃〟呼びに不快感を覚える。だからといって、そう呼ばないでとは言えないが。


「……私に?」
「食事でも行かないか?」
「えっ、今から?」
「そ。電話じゃ埒が明かないなと。菜乃、つれないから」


まさか、そのためにここまでやって来たのかと困惑する。


「ごめん、食事は行けない」
「なんで。菜乃――」


充が言いかけたそのとき、菜乃花の隣に人の気配がすると同時に肩を引き寄せられる。


「充くん、久しぶりだね」


朋久だった。
菜乃花の肩を抱く朋久の姿に、充が顔をしかめる。
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