S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

「わざわざ菜乃に会いに来てくれたのか」


心なしか棘がある言い方に聞こえなくもない。〝わざわざ〟を強調し、朋久は少し威圧を与えるような感じだ。

たぶん困っている菜乃花を助けるためだろうが、いきなり肩を抱かれてどぎまぎせずにはいられない。


「ええ、あなたではなく菜乃に会いに来ました」


朋久にそんな態度を取られても、充も引く様子はない。


「残念だが、菜乃とふたりきりで会うのは今後できないと思ってもらいたい」
「どうしてあなたにそんな指図をされるんですか?」


なぜかふたりが好戦的な雰囲気になり、菜乃花はハラハラしながらもどう口を挟めばいいのかわからない。


「菜乃は俺の妻なんでね」
「……は?」


なにを馬鹿げたことをとでも言いたげ、充は顎を突き出した。
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