S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
「私だけ飲んでごめんね」
「今日はホワイトデーだから気にするな。ただし飲みすぎて泥酔したら置いてくからな」
「ひどーい。そういうときは優しく抱きかかえて介抱するものでしょう?」
そもそも泥酔するほど酔った経験はないし、浴びるほど飲んだ経験もない。
「このところ甘いものづくしだから、菜乃を抱き上げられるか不安だな」
「もうっ、そんなに食べてませんっ。朋くんってばデリカシーがなさすぎ」
菜乃花がぷぅと頬を膨らませると、朋久が楽しげに口角を上げる。菜乃花をからかって喜んでいる顔だ。
これみよがしにグラスを傾け、ごくりと喉を鳴らす。
「ん、おいしい。このワイン、すごく飲みやすいね」
「気に入ったのならなによりだ」
朋久の笑顔が弾ける。
すっきりとした口当たりだから飲み過ぎないように気をつけようと心の中で考えていたら、早速前菜からはじまるコース料理が運ばれてきた。
「お待たせいたしました。フレッシュフォアグラのテリーヌでございます」