S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
朋久の人差し指が〝しー〟といった仕草で菜乃花の唇にあてられる。たったそれだけで菜乃花を黙らせるだけの強さが、朋久の眼差しにあった。初めて見る〝男〟の顔だ。
色香を滲ませ、熱を帯びた視線に菜乃花は全面降伏。白旗を上げる以外にない。
「菜乃に意地悪していいのは俺だけ。菜乃と呼べるのも俺だけだ」
独占欲をあらわにした言葉に胸が高鳴っていく。
充に『彼女を〝菜乃〟と呼ぶのもやめてくれ。俺だけの呼び名だ』と言い放ったのを思い出す。本当にうれしくて、その場で飛び跳ねたいくらいだった。
「私も朋くんにだけそうしてほしい」
ほかの誰でもなく朋久ただひとりだけに。
朋久が満足そうに微笑む。
「菜乃、好きだ」
「私も朋くんが好き」
重なった唇はすぐに熱を持ち、恍惚とした時間を連れてくる。
優しく食みながら菜乃花の緊張を解いていく穏やかなキスは次第に大胆になっていき、息をしようと薄く開いた唇の隙間から朋久の舌が侵入してきた。