S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
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瞼に感じる光が、菜乃花に覚醒を促していく。まだ目覚めてもいないのに幸せな気持ちに包まれる不思議な感覚の狭間で、隣のぬくもりを探る。
それなのに……。
(あれ? 朋くんは?)
手も足も、その存在を確認できず、パッと目を開けた。
「朋くん?」
不安になりながら体を起こす。
昨夜はすぐさまベッドに連れ去られたため気づく余裕がなかったが、菜乃花が目覚めた部屋にはひとつの大きなベッドしかない。つまり、ここはベッドルームだ。通常のツインなどではないとわかる。
脱ぎ捨てたものはベッド脇に散り散りになっており、それを着るのも躊躇われて、菜乃花は仕方なしに素肌に毛布を巻きつけて部屋を出た。
扉を開けてすぐ豪華なソファセットが目に入る。リビングスペースのようだ。天井が高く、大きな窓の向こうは開放的な都会の景色が広がっている。
エレガントな調度品が品よく並び、とても素敵な部屋だ。
朋久はその向こう、ダイニングテーブルの前にいた。