S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
廉太郎と別れてマンションへ帰って来た菜乃花は、なにをする気にもなれず、リビングのソファに体を預けたままいたずらに時間が過ぎていった。
いつの間にか夜が訪れ、リビングは自動でついたフットライトが灯る。薄明りの中、思考は停止。ぼんやりとしていたら、突然明かりがついた。
「菜乃、電気もつけないでどうしたんだ」
出張から帰った朋久だった。
「……おかえりなさい」
いきなり明るくなったため目が眩む。どんな顔をしたらいいのかわからず、視線を彷徨わせた。
「なにかあったのか?」
ブリーフケースを置いた朋久が、ソファに座る菜乃花の前に跪く。
「な、なにもないよ。ちょっと眠ってて、今起きたところだったの」
いかにも眠そうなのを演じるために目を擦った。