S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
彼の胸を押さえて止めた。
朋久の顔色が変わるより早く、口を開く。
「朋くん、あのね、DVDを買ってきたの。アクションもの、好きだったよね? お風呂入ったら一緒に観ようよ。私、急いでここ片づけちゃうから」
菜乃花はくるっと向きを変え、手に持ったままだった布巾でシンク回りを拭きはじめた。背後で朋久が困惑しているのは察したが、忙しいふりを決め込む。
しばらくその場に留まっていた朋久が「先に風呂入ってくる」とキッチンを離れると、菜乃花は大きく息を吐いてその場に座り込んだ。