S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
*****
廉太郎から連絡があったのは、それから二週間が経った頃のことだった。
ほかでもなく、鑑定結果が出たことを知らせるもの。その場で真偽をたしかめたかったが、廉太郎はまだ開封しておらず一緒に確認しようと言われたため、その後の仕事はここ最近の中でもっとも手がつかない状態だった。
これまで同様、足を運んだコーヒーショップ。ほぼ同時に到着した廉太郎と思い思いにコーヒーを頼み、テーブルに着いた。
「おじさま、結果は」
はやる気持ちを抑えられない。
「ここにある」
廉太郎がブリーフケースから取り出した大きな封筒をテーブルに置く。
その中に、菜乃花の運命を左右する結果が記されている。そう考えた途端、心臓が異様な速さで刻みはじめた。
急く心に反して、開封するのが怖い。
いよいよ真実が明かされるとき。それを開いたが最後、もう元には戻れない。