S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

廉太郎は息を深く吐き出しながら呟いた。

〝99.99%の確率で異母兄弟姉妹であるといえる〟

無情にも報告書にはそうあった。

(99.99%……?)

限りなく100%に近い数字に視界が歪む。


「でも、おじさま、100%じゃないのなら兄妹じゃない可能性もあるんでしょう? もしかしたら違うかもしれないってことでしょう? ねえ、そうでしょう? だって0.01%の確率が残されてるんだから。ね、おじさま、そうよね?」


こんなの絶対におかしい。母の不倫も、菜乃花の父親が朋久と同じなのも、全部が全部間違えている。
そうでなかったら、これは夢だ。悪い夢を見ているだけで、目が覚めたら違う現実がきちんとあるのだ。


「おじさま、これはひとつの検査結果で、きっとべつの鑑定を受けたら違うんじゃないかな。だからもう一度調べたら――」
「菜乃花ちゃん」


取り乱した菜乃花を廉太郎がたったひと言で宥める。その呼びかけは、菜乃花の言葉をすべて否定しているも同然だった。
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