S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

力なく頷く。


「そもそも、どうしてこんな鑑定をする必要があったんだ」


朋久は鬼気迫る声で菜乃花に詰め寄った。
その勢いに気圧されながら、朋久の言葉を頭の中で反芻する。

(あの鑑定は嘘なの? ……でたらめって本当?)

それなら、朋久と菜乃花は兄妹なんかではなく、母親の不倫話もでっちあげになるのだろうか。


「……朋くんと私に血の繋がりは、ないの?」
「あるわけないだろっ。なんでそうなるんだ」


強く否定され、廉太郎に植えつけられた妄想が少しずつ崩れていく。


「本当に?」
「あたり前だ。どうしてそんなことになったのか話せ。頼むから話してくれ」


切羽詰まったような朋久の目が微かに潤む。そこに嘘はなく、一時凌ぎの取り繕いでもないのはわかった。
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