S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

「だいたい、菜乃花の母親と俺の父親が不倫なんて、どうして信じた? あり得ないだろ」


そう言われて、バッグに入れたままだった写真の存在を思い出す。菜乃花はそれを取りだして、朋久に差し出した。

最初こそ目を剥いて驚いた朋久は、軽く鼻を鳴らして菜乃花に返す。


「合成だ」
「えっ、合成!?」
「よくできてるけど、おばさんの輪郭が少し白くなってる」


言われてじっと注視してみたら、たしかにそうだった。

(……どうして気づかなかったの?)

自分の注意力のなさが情けない。
でも言い訳をさせてもらえれば、あまりにも衝撃的な写真のため細部までじっくり観察する余裕なんてなかった。とんでもないものを発見してしまったと、目を逸らしたかったから。


「これをどこで?」
「自宅のリビングで」
「菜乃花にそれとなく探るように仕向けて、こっそり忍ばせておいたんだろう。自宅の鍵を彼に持たせてなかったか? いくらだって可能だ」
< 259 / 300 >

この作品をシェア

pagetop