S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
「だけど京極さん、父はそこまで悪い人間じゃないんだ。罪を犯すような人間じゃない。だから――」
「充くん、悪いが俺は今回の一件は許せない」
朋久が充を遮って続ける。
「菜乃がこの数週間、どんな想いでいたかわかるか? 誰にも相談できず、ひとりでずっと悩んでいたんだ。その原因に気づけなかった俺自身だって腹立たしいくらいに。だから俺は手を抜くつもりはない。徹底的に償ってもらうつもりだ」
朋久は、優しさのいっさいない毅然とした態度を貫いた。菜乃花ですら声を掛けられないほど、強い視線で充を射抜く。
それと同時に自分に対する盲目とも言える愛を感じて、菜乃花は不謹慎ながらうれしさを感じていた。
「……そうですね、父には自分の罪をしっかり認識してもらうのがいい。……わかりました」
項垂れていた充がぐっと顔を上げる。
「この度は本当に申し訳ありませんでした。息子の俺から謝らせてください。菜乃花、本当にごめん」
充は両脇に手を揃え、深く頭を下げた。