S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

「……うん、わかった。えっと……それじゃ私、仕事に戻るね」


ぎこちなく言って、朋久を置いてビルの中に入る。

(絶対にそう。そろそろマンションを出てもらえないかって言われるんだ)

社会人になって間もなく丸二年が経過する。いい大人なんだから大丈夫だろう?と言われたら、菜乃花だって首を横に振れない。さんざんお世話になってきたのだから。

頭を切り替えなければならないのに、その日は退勤するまで仕事があまり手につかなかった。
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