みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
 まるで、いたいけな幼児のような表情を見て、彼を守りたいという気持ちがあふれそうになった。

 少しして、一回だけ大きく瞬きをすると、大洋は強く結んでいた唇をほどいて話しはじめた。

「妹が……死んだんだ。もともと心臓が悪くて、半年ぐらい前から入院して小康状態が続いていたんだけど、季節外れのインフルエンザにかかって、あっけなく……」

 妹さんって……咲ちゃんが言っていた……

「そう……だったの」

「よかったら、線香あげてくれる?」
 大洋は立ち上がると、隣の部屋に入るようにわたしを促した。
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