みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
 斜めに射しこむ夕陽が、窓辺の小さな折り畳みテーブルを照らしている。

 その上にご位牌と写真立てが置かれていた。

 遺影の少女の面立ちは大洋によく似ていた。
 長い髪の美少女。
 面長の整った顔に意志の強そうな黒い瞳が印象的だった。

 大洋にとっての唯一の肉親の死。
「……たいへんだったね」
 それしか、かける言葉が見つからない。

「ああ」
 そう言ったきり、大洋も口を閉ざした。

 しばらく、2人で一緒に妹さんの写真を見つめていたけれど、先に話を始めたのは大洋のほうだった。

 亡くなったのは二カ月ほど前、わたしと映画に行った次の週だったと言った。

「本当に、容態が急変して。映画に行ったころは調子が良かったのに」

 そして、あの雨の夜、わたしの部屋に訪ねてきたときは四十九日の翌々日だったそうだ。
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