みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
 それから、わたしに傘を押しつけ、自分はそのまま、雨のなかに駆け出していった。


 車のライトに照らしだされたその後ろ姿がわたしの目に焼きついた。

 ダンスでも踊っているかのように、激しい雨の下を軽やかに走っていく姿が。


(助かったけど、誰? なんでわたしに傘、貸してくれたんだろう?)
 頭のなかがハテナマークで埋め尽くされていく。

 でも、せっかくの好意だし、ありがたく使わせてもらおう。

 折りたたみなのに大きなその傘は、土砂降りをも物ともせず、わたしを守ってくれた。

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