みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
 そのとき、彼が「へえ、あなた先生なんだ」と口をはさんだ。

「……」柴咲は彼の顔をまじまじと見て、一瞬、言葉を失った。

「誰ですか? この人。もしかして、カレシ?」

「違う。ただの知り合い」

「ホントに?」

「本当に本当。もう、あることないこと、みんなに広めないでよ」

「はーい。ってか、じゃあ紹介してくださいよー。めっちゃイケメンじゃないですか」

「それだけ正面切って褒められると悪い気しないね」そう言って、彼はにこやかに笑った。

「やばい。笑顔やばすぎ」

 柴咲が見とれていると、カウンターの奥から声がした。

「3番さん、上がったよー」

「ほら、呼ばれてるよ。真面目に仕事しなさい」

「うわ、行かなきゃ。怒られる。じゃ、先生またね」

 柴咲はあわてて去っていった。

 彼はその姿を見送りながら、言った。

「先生だったのか。なんか納得」
 
「もう昨年やめたんですけどね。あの子は担任だったとき、なついてくれた子の一人なんですよ」

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