みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
 顔をしかめて頭を抱えているわたしを見て、彼は微笑みを浮かべた。

「冷ごはんとかってある? キッチン貸してくれたら、おれ作るけど」

「冷凍庫に……」

「寝てていいよ。頭痛いんだろ」

 そう言って、ウインクひとつして、キッチンに向かった。

 うん、いい人なんだよね。基本的に。

 昨日もけっこう長い時間、飲み屋に一緒にいたけれど、こっちに変に意識させないで、ごく自然に気遣いを見せてくれることがたびたびあって。

すごく居心地が良かった。
〝馬が合う〟ってこういうことを言うのかと思った。

 でもそれって、商売柄だよね。
 
 誰にでも優しいんだろう。

 きっと……

「ほら、二日酔いにはやっぱこれでしょう」

 10分ほどしてから、呼ばれてキッチンに行くと、梅干しの入ったお茶漬けができていた。
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