みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
 わたしは、動揺を気取られないように「何言ってんのよ」と返した。

 佐伯大洋っていうのか。
 ふーん、たいようって言うんだ。彼の名前。

 そう思っていたら、佐伯大洋はおもむろに「うみ」って言った。

「大洋って書いて、〝うみ〟って読むんだ。みんな〝たいよう〟って読むけど。学校ではじめて名前呼ばれるとき、毎年訂正してたな。そういえば。〝さえきうみ〟です。よろしくって」

 大洋(うみ)はわたしの職員証に目をやり、言った。

「あなたは美羽(みわ)さん?」

「ううん、〝みう〟」

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